第5回 愛の"隠し包丁"。

入れ歯をお使いのみなさんのさまざまな疑問に、歯科医がお答えします。

第5回 愛の"隠し包丁"。

今日はお肉料理。そんな日は、入れ歯を使う父の分だけ、お肉に細かく隠し包丁を入れて、柔らかく、噛み切りやすくするのが我が家のお約束。でもこれがけっこう大変なんですよね。とはいえ父はお肉が大好物なので、ひんぱんに食卓に上げてあげたいし。先生、入れ歯にとってお肉は、そんなに強敵なのですか?

(長崎市 Y Mさん) 

お父さまとは逆に、年齢を重ねてお肉を食べなくなる方も多いですが、最近では年配の方にも積極的な動物性タンパク質の摂取が推奨されていますよね。ただデンチャー(入れ歯)使用者にとって、硬いお肉が負担であるのも事実です。お父さまには入れ歯安定剤を、中でもクリームタイプの製品をお薦めになってはいかがでしょうか。少量で薄く広く伸びて、デンチャーをぴったり安定させますから、隠し包丁なしの多少硬いお肉でも、強くしっかり噛めて、おいしく食べることができると思いますよ。

(歯科医 若林健史)